平成13年2月、「若松さん、ニタマイって知ってる?」。
電話の主は、(株)内田紙工業(本社埼玉県戸田市、内田和行社長、電話048−422−4600)の内田社長である。
「島根県の山の中に、仁多町という所があってさー、そこで取れる米が美味いんだよ。来週担当課長が別件で上京してくるから、ちょっと話しを聞いてあげてよ。試食用の米はすぐ送らせるから。仁多町で取れる米だから仁多米だってさ」。
いつもの調子で話す、内田社長のこの手の話は要注意である。これまでに何度か苦労をさせられている。なんだかよく判らないが、ともかくその「担当課長さん」にお会いすることにした。
銀座のビジネスホテルでお会いした「担当課長さん」は、島根県仁多町地域振興課課長宇田川和義氏である。れっきとした仁多町役場(岩田一郎町長、電話0854−54−1221)の課長さんであった。物静かで真面目そうな、私より4−5歳年上に見える方である。ビジネスホテルの近くの喫茶店で、宇田川課長からお話をお聞きすることにした。
「仁多町というのは、昭和30年に旧5町村が合併して出来た町で、現在の人口は9,000人です。松江市から南に40km、車で約1時間かかります。中国山地の山懐にある自然に恵まれた町で、JR木次線(ローカル線)が走り、最寄の空港は出雲空港になります。町の86%は山林で、古くは農耕と山砂鉄・木炭による「たたら製鉄」が主産業でした。今は農業が基幹で(農家率54%、農家人口率65%)、お米や肉牛、椎茸の産地として知られています。お米は「仁多米」という銘柄のコシヒカリです。平成10年産米全国食味ランキング(日本穀物検定協会)で、新潟の魚沼産コシヒカリと同じ「特A」を獲得した美味しい米です。西日本で「特A」を獲得したのは「仁多米」だけです。この「仁多米」を売るのが私の今の仕事なのです。仁多郡には、仁多町と横田町があります。この2町が出資して「奥出雲仁多米株式会社(島根県仁多町、岩田一郎(仁多町町長)社長、電話0854−54−2248)」という販売会社を設立しました。いわゆる第3セクターです。出来るだけ通販で売りたいのですが、どうやったらいいのかノウハウが有りません。富士銀行に勤めている私の弟が、たまたま内田社長と仕事上知り合いでしたので、お力添えをお願い致しました」。
宇田川課長のお話を聞いているうちに、だんだんと様子が解って来た。
内田社長は郵政省のDM大賞を5年連続受賞した、DM業界では有名な実力者である。その内田社長がDMを作る以前の問題と判断し、私を紹介したようだ。一応宇田川課長が持参した商品パンフレットを見せて頂いて、思わず私は唸ってしまった。持参されたパンフレットは、お米の商品パンフレットというよりも、カントリィーエレベーター(大規模乾燥調整貯蔵施設)ばかりが目立つ内容である。お米を売りたいのか、カントリィーエレベーターを自慢したいのか、さっぱり解らないのである。
ともかく、翌月に仁多町にお伺いする事を約束してその日は終えた。産直品を知るには産地に行くのが一番である。
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