平成11年春、大阪で開催した2泊3日の通販合宿セミナー(日本経営合理化協会主催)は40名を越す参加者で賑わっていた。私も講師陣の1人として3日間熱弁を奮った。その参加者の中に(株)トリイヴィラ(山中光江社長、電話03−5250−8044)の白井良尚副社長の姿があった。一番後ろの2人掛けの席に1人で座り、熱心に勉強をされていた。次ぎの講演を控え、なにげなく隣の空席に私が座ったことが、私とトリイヴィラとの出会いであった。
休憩時間に白井副社長と名刺を交換し、取り扱い商品のパンフレットを見せて頂いた。「どくだみの雫(しずく)」という商品名の健康飲料で、「どくだみ」の生葉をすり潰したビン詰めの青汁である。この商品を本格的に通販で販売していくためセミナーに参加したという。北海道の北の外れで生まれ育った私にとっては、その時「どくだみ」という植物についての知識がなく、現物もまじまじと見たことが無かった。何処かで見ているのかもしれないが、名称と現物が一致しない。その時は、「面白い商品が有るもんですね、でも通販商品としては向いてますよ」と寸評して終わり、私の記憶から消えていった。その年の秋、そのトリイヴィラからお呼びが掛かった。会社の所在地は東京都中央区銀座1丁目である。
「どくだみの雫」を本格的に通信販売で売って行きたいので尽力してほしいとの依頼である。この時初めて山中光江社長とお会いした。年頃は私よりやや若い位の女性で美人である。最愛の夫と死別した後も、白井副社長を始め、大勢の支援者、協力者に助けられ事業を進めているという。それにしても「どくだみ」のようなニッチな商品を、なぜ取り扱うようになったのか、その由来を山中社長にお聞きした。
「私には3人の子供がいます。みんな男の子です。実は末っ子の寛俊(ひろとし)が酷いアトピーで苦労をしました。幼稚園に行く頃から痒がるようになり、掻き毟るため下着やシーツはいつも血だらけでした。痒くて夜も寝られず、むずがる子供を抱いて、自分で替われるものなら替わってあげたいと随分泣きました。東に良い薬が有ると聞けば東に行き、西に良い医者が居ると聞けば西に行きました。ありとあらゆる物を試し、日本中を子供を抱いて走りました。でも、どれもこれも効きませんでした。丁度その頃、以前私がしていた仕事の関係で知り合った(株)シャトー勝沼(今村英勇社長、電話0553−44−0073)の今村英勇社長とお会いしました。
勝沼は甲州きってのぶどうの名産地です。葡萄ワインの生産量は日本一、葡萄作り千二百年、ワイン作り百二十年の歴史があります。その勝沼のワイン作りの歴史中、地元屈指のワイナリーが(株)シャトー勝沼さんなんです。以前の仕事をやめて、自分で新しい会社を設立しようと相談に乗って頂いておりました。新会社とは関係ないと思いつつ、子供のアトピーで疲労困ぱいしている事を話したところ、「どくだみ」を使ったらどうかな、と薦められました。
今村社長は(株)シャトー勝沼の他に、山梨薬研(株)(今村英勇社長、電話0553−44−0326)の社長を務められ、健康食品の栽培、開発製造、販売もされていました。なぜか「どくだみ」関係の商品が目立っていました。どくだみ青汁「一番しぼり」、どくだみのエキス入り「ドクターワイン」、はちみつ入り「どくだみハニー」等です。そして、「これから鳥居平(勝沼にある丘陵地:トリイダイラ)に行きましょう」と誘って頂きました。「勝沼鳥居平100%ワイン」はシャトー勝沼の主力商品なので、鳥居平という名称だけは知っていましたが行ったことは有りませんでした。鳥居平は丘の南西斜面に有り日当たりが良く、日照時間が長い好立地に加え、昼夜の温度差が大きく、かつ土壌の良さに恵まれているそうです。そこに葡萄が栽培されていました。
「山中さん、あの葡萄の下に「どくだみ」が植えてあるんですよ。「どくだみ」を植えると害虫が付かないんですよ。ただそれだけでは「どくだみ」がもったいないわけです。葡萄と同じように最良の立地条件で最良の土で育った「どくだみ」であなたのオリジナル商品を作ったらいかがですか」「それから、山中さん、あなたが設立する会社の名前はこの「鳥居平」にちなんで「トリイヴィラ」にしたらどうですか」と具体的に貴重なアドバイスをして頂きました。現社名の「トリイヴィラ」はこの時こうして出てきたわけです。
帰りがけに鳥居平で採れた「どくだみ」の生葉100%から絞った「どくだみ液」を沢山頂きました。私は半信半疑ながらその「どくだみ液」を子供に飲ませ、皮膚に付けました。「どくだみ」は臭いが悪いので子供は嫌がったのですが、説得するため自分自身も子供と一緒に朝晩飲みました。飲み始め、付け始めてから4ヶ月目に効果が見えてきました。ガチガチで象の肌のような皮膚がやわらかくなり、カサブタがとれた後にきれいなピンク色の皮膚が見えてきました。かゆみも止まりました。自分自身も気苦労で病んでいた胃潰瘍がうそのように消えました。
この時私は新会社名を「トリイヴィラ」、取り扱い商品は一生「どくだみ」にしようと決心したのです。自分の子供と自分自身で試した商品ならば自信を持って人に勧められるからです」。
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