平成10年10月。私は、故田中角栄元総理大臣の出身地長岡駅に降り立った。長岡市は新潟県の中央に位置し県下第2位の商工業都市である。古くは長岡藩の城下町であり長岡藩家老河井継之助、連合艦隊司令長官山本五十六海軍大将の出身地として知られ最近では小泉首相の米百表発言で話題になった。交通面では関越自動車道、上越新幹線、信越本線で首都圏、長野県、日本海沿岸地域を結ぶ交通の要所である。人口約19万人。特産品としてはさすがに米処らしく米菓、お酒が目立つ。毎年8月になると有名な大花火大会があり信濃川流域上空に大輪の華を咲かせる。此処の花火は正3尺玉という日本一の大きさで、長岡駅構内で実物大の見本を見たが、どうしてこんな大きな玉が上がるのか不思議なくらいのデカ玉である。是非一度華を見たいものだ。
今回の訪問先は長岡市の中心街殿町に本社がある(株)長岡小嶋屋(山田秀郎社長、TEL0258−34−7201)である。
長岡小嶋屋さんは日本そば屋である。それも新潟県独特の「へぎそば」越の海藻挽きそば(コシノクサビキソバ)の製造メーカーであり、店舗も計9店舗を持つ老舗である。平成8年には初の東京進出となる伊勢丹府中店にテナント出店を果たしている。
読者の中には、「へぎそば」とはなんぞやと思っている方も少なく無いとおもうが、実は私と「へぎそば」の出会いは平成7年に遡る。
当時出張で日本ユニシス新潟支店へ出かけた折、奥山隆雄支店長が「若松さん、新潟にめちゃくちゃ美味いそばが有る」と言って食べに連れて行ってくれたのが、今思うと長岡小嶋屋さんの新潟駅前店であつた。
「茶そば」のような緑色をしているが黒ずんだ緑ではなく、エメラルドグリーンのような明るい緑色である。しかも固いぐらいの腰が有り、ツルリとした喉越しがなんとも言われないくらい美味かった。そして一般的なザルそばのように山盛りに盛り付けせず、四角いお盆のような入れ物に一口分ずつ綺麗に並べて(これを手振りという)盛り付けてあり食べやすい。実はこの四角いお盆のような入れ物のことを「へぎ」と言うことをその時初めて知った。
「越の海藻挽きそば」の云われであるが、普通の「そば」はそば粉と繋ぎの小麦粉を混ぜ合わせ水を入れて打つ。そば粉だけでは、「ぼそぼそ」感が強く粘度が弱いため細長くできないし食感が悪い。そのために繋ぎとして小麦粉を混ぜるのが普通であるが、「越の海藻挽きそば」は繋ぎに「ふのり」を使用し水は使わない。「ふのり」の粘性で「そば粉」を繋ぎかつ美しい緑色と香りが付く。ゆえに「越の海藻挽きそば」はそば粉100%である。
何を食べてもめったに美味いと言わない食通の奥山支店長が絶賛するだけの「そば」であった。それ以来新潟に行くと必ず奥山支店長と連れ立ってその店で昼食を取った思い出がある。只、価格が東京並にしたこともよくおぼえている。
まさかその長岡小嶋屋さんのコンサルをする事になろうとは、その時夢にも思わなかった。縁は奇なものである。
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